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Cute Movies

帰らない日々

監督:テリー・ジョージ

「帰らない日々」
7月26日よりシャンテ シネほか公開順次ロ―ドショー

(c)2007 Focus Features. All Rights Reserved.
悲しみという海に放り出されたら、自分は、毎日は、どうなってしまうのだろう?

【ストーリー】
郊外の小さな街でしあわせな生活を送っていたイーサン(ホアキン・フェニックス)と、その家族。しかし、ある日突然のひき逃げ事故で息子のジョシュ(ショーン・カーリー)を失い、世界は一変する。頼りにならない警察に業を煮やし、みずから弁護士を雇って犯人捜しを続けるイーサンだったが、なんと担当することになったのは、ジョシュをひき逃げした張本人、弁護士ドワイト(マーク・ラファロ)だった。そしてドワイトにも、離婚した妻ルース(ミラ・ソルヴィノ)との間に息子ルーカス(エディ・アルダーソン)がいた。ふたりの父親はそれぞれに苦悩する。

悲劇をことさら派手に演出することもなく、深く、静かに、丁寧に描いています。だからこそ、一人ひとりの心の動きや行動が印象に残るんです。

たとえば、息子を失って絶望の底に突き落とされながらも、残されたもう一人の子ども、エマ(エル・ファニング)のため、日常生活を立て直そうとするイーサンの妻グレース(ジェニファー・コネリー)。だけど完璧にはいかなくて、学校への送り迎えに遅刻をしたり、食料品の買い出しを夫に頼んだりします。自分なりに精一杯を尽くしているグレースの気持ちが伝わってくるシーンです。決してドラマチックな場面ではないかもしれないけれど、身近な行動を丁寧に描いているだけに「自分だったらどうするだろう?
同じように無理してでもがんばるかもしれない」そんな思いがよぎります。

たとえば、ひき逃げをしてしまったドワイト。犯人捜しが進展しない状況で、もしかしたらこのまま、うやむやになるかもしれない。しかし、同じく息子を持つ父親として、イーサンの気持ちは自分のことのように分かる。そして何より、一人の人間として罪悪感から逃れられない。良心の呵責と恐怖で引き裂かれそうになりながら、毎日取り憑かれたようにジョギングを繰り返します。そう、小さな街ではどんな行動も目立ってしまうから、走ることぐらいでしか、自らを解放する手段がないのです。

辛く悲しい出来事がテーマながら、観た後の気分には希望が少し、まじっています。
それぞれのやり方で少しずつ明日へ向かおうとする姿に、勇気をもらっているのかもしれません。
text by...  こうだ真紀

2008/07/25